通信とコンピューターの未来 -現代マネジメントⅠ-
駒澤大学経営学部では、ビジネスの最前線で活躍されている方々から、業界の動向や働き方を直接学べる授業「現代マネジメントⅠ」を開講しています。
2025年度の「現代マネジメントⅠ」では、経営支援NPOクラブのご協力のもと、4月29日の授業に経営支援NPOクラブの杉田一志氏(元?株式会社日刊現代)と菊池俊一氏(元?富士通アドバンストテクノロジ株式会社執行役員)をお招きしました。
まず杉田氏からは、経営理論として「企業論」についての講義がありました。株式会社の目的や存在意義について解説され、「将来、何をしたいのか? そのために今、何をしているのか?」という問いかけが、これから社会に出る学生たちに向けて投げかけられました。
続いて菊池氏による「通信とコンピューターの未来」というテーマでの講義が行われました。富士通で長年開発に携わってきた菊池氏は、通信技術とコンピューターの歴史を振り返った上で、今後の展望について語りました。
現在、世界全体での電力消費量は増加傾向にあり、コンピューターもより省電力で高性能な方向へと進化しています。電力あたりの性能が現在の60万倍から300万倍といった、人間の脳を凌駕する省エネのコンピューターが50年先に登場するかもしれません。完全自動運転の実現や、地球外惑星への電波送電といった未来の技術も、通信とコンピューターの進化によって支えられるとのことでした。
未来を担う学生たちにとって、通信とコンピューターは最も重要な基礎であるという、力強いメッセージが伝えられました。
講義の後半には、学生からの質問も寄せられました。
「様々なマネジメントを行う上で大切にしている考え方は何ですか?」という問いに対して、杉田氏は「自分のやりたいことがなんなのかを基準に動くこと」、菊池氏は「議論をするときに、意見の対立点を明確にすること」とそれぞれ回答しました。また、「開発の仕事を進める中で障害となった法律や、こういう法律があれば良かったと感じたことはありますか?」という質問には、「ルール作りに対して、もっと積極的に働きかけるべきだった。皆さんには、開発と同時に法律や規格の見直しもセットでぜひ考えていってほしい」と、学生たちへの期待を込めたメッセージが送られました。
講義を終えた学生たちからは、「企業の目的が『利益追求』から『社会的価値の創造』へと変化してきたことが印象的だった」「コンピューターの進化は、長年にわたるトライアンドエラーの積み重ねの結果だと知り、自分も現状に満足せず変化し続ける姿勢を持ちたいと思った」といった感想が寄せられました。
企業の意義から個々の仕事の意味までを深く考えさせられる、経験豊富なビジネスパーソンによる貴重な講義となりました。
ありがとうございました。
(H.O.)